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お米本来の味を堪能してもらうための
細やかな配慮

 会津の郷土料理「輪箱飯(わっぱめし)」を提供する有名店「元祖輪箱飯 田季野」。今回は、女将である馬塲由紀子様に、会津産コシヒカリを使用した輪箱飯のお話から、女将オススメのご飯のお供の話まで、城下町会津若松と日光を結ぶ下野街道の宿場、豪壮な糸沢陣屋を移築復元した建物内でお話を伺いました。

【会津産コシヒカリ使っています。】馬塲 由紀子 さん(割烹「田季野」女将)

田季野の輪箱飯は、もち米は一切使用していません

田季野さんでは会津産コシヒカリを使用されていますか?

 はい。お米は会津産コシヒカリを使っています。田季野でお出ししている輪箱飯は、もちもち感があるので、もち米を使っていますよね?と聞かれることが多いですが、もち米は一切使っていません。お客様のおっしゃるもちもち感は、器へお米を盛りつける方法がポイントだと思います。曲げわっぱの器にお米を入れるときに、押し詰めるのではなく、空気が入るようにふわっとさせながらも平らに盛りつけることで、蒸気が外側から入り、水分が全体に行き渡ります。そのように蒸らしを行うことで、粘り気というかもちもち感が出てきます。作業工程で自然と出た結果とも言えます。

【会津産コシヒカリ使っています。】馬塲 由紀子 さん(割烹「田季野」女将)

お米本来の味を堪能してもらうための細やかな配慮

お米を美味しく食べてもらうために、どのようなことを注意されていますか?

 現在、白米そのものの提供よりも味が付いたメニューやお弁当が多くなってきていますが、会津は米どころなので、お米本来の味を堪能して頂けるように、お米の上に惣菜をのせるときも、お米に味が染み込まないよう細かい配慮を意識しています。先ほど申し上げたように、田季野の輪箱飯は、もち米が入っているの?とか、酢飯なの?といったことを聞かれることがよくあります。白米のみでお作りしていますとお答えすると、白米だけでこんなに美味しいのかと驚かれるお客様も多く、ぜひ買って帰りたい、と仰っていただくことがございます。
 他の地域からいらっしゃったお客様が、会津産コシヒカリを純粋に味わいたいという気持ちを持っていただいているのだと実感します。田季野では、少し固めに炊いて、お米を噛むことで、よりお米の甘さなどを味わって頂けるように工夫をしています。

お米はガスで炊くのがオススメ!

お米に合うオススメのご飯のお供は何でしょうか?

 私が個人的に好きなのは、高田梅のおにぎりです。会津産コシヒカリと高田梅の肉厚な果肉の梅干しは、よく合いますよね。お米に合う郷土料理といえば、筍と鰊の煮物や、ゼンマイ煮も合うと思います。田季野のメニューだと、やっぱり輪箱飯かな(笑)

一般の家庭でお米を炊く際のアドバイスなどがありましたらお聞かせください。

 お米はガスで炊いたほうが良いです。火力が違いますから美味しく炊きあがります。土鍋で炊いたりするとより美味しいですね。田季野では、冷温保存している会津産コシヒカリを、都度精米して持って来てもらっています。人間の身体をつくるのは食べ物ですから、お米も何を選ぶか、どのような方法で炊くか、どのような道具で炊くか、そういったことを意識してこだわったほうが良いと思います。

 現在、お米は糖質ダイエットなどの文脈では敬遠されがちな食材になってきていますが、本来、日本人にとってお米は中心にあり、これからもその文化は継承していくべきものだと思います。

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